逃げても消えない親への気持ちの縛り
就職して、お金をひたすら貯金して、1年経たずに一人暮らしを始めた
家族から、親がいる環境から逃げ出したかった
自由が、欲しかった
今や家族どころか身内の誰一人として連絡を取り合っていないし会ってもいない
テレビを見てたら、行きたいなーと思ってたレストランが取り上げられていた
そこは、ぼんやりと父親と行った記憶のある店で、父親と行ったからとかじゃなく、その店の雰囲気と料理が好きで行ってみたいだけなんだ
正直そのレストランの事は完全に忘れていた
見て真っ先に浮かんだのは、父親と食事をした情景
そしてなぜか、泣きたくなった
ふと忘れていた記憶が出てきて、一緒に普通に出かけた事がある記憶が出てきて、自分でも良くわからない感情になった
家族から逃げる事が私の望みだった
望み通り、連絡しないしこなくなったというのに
どうしてこんなしょーもないことを思い出したのか?
謎の呪縛から逃げられない自分
心のどこかで愛されていたと信じたくなる自分がずっといて、そんなはずない言動を何度受けても、受けても…
私はそんな事無かったと今は分かってるし、何ともないと言っていた
でも、この胸の苦しみはなんだろう
いつしかまともに「お父さん」なんて呼んだことは数える程度になっていったあの人との記憶
私がズル休みをしたこと、あの人は知っていた
ああ、外に連れ出されたことあったな
レストランも2人で行ったんだ
義務感だけで育てられていたなんて、邪魔だと思われてたなんて、面倒だと思われていたなんて、死を覚悟するほどの暴力をしてたなんて、信じたくない自分がまだいるのだろうか?
あそこにあったのは子供を愛する姿ではなく、義務と世間一般論と、己の勝手な思考
物心ついたとき、その時いたただ一人しかいない親だから
どんなに怖い目にあっても、必死に愛されようとしてた自分は消えなくて、子供だと認められたかった自分は消えなくて
どうしても私は、叶わないと分かっていても、学力実力才能じゃなくて、私を見てくれる両親が欲しかった